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「香奈、またそんな可愛いことして」
しかし、ちょっと恨めしげな彼の声に、私はキョトンとする。
「でも、本当の事よ?」
そう言う私の目の前で、更に彼の顔が少し歪んだ。
「もう、君はどうしてこう小悪魔かな」
途端、彼の腕の中にギュッと抱きしめられる。
「そんな事されたら、俺、朝から我慢できなくなっちゃうよ」
だが、そんな事を言われては、私の中の悪戯心も聞き流せない。
「じゃあ、もう一つのクリスマス・プレゼントってことにする?」
私を抱きしめる彼の耳元で囁くと、
にわかに腕を緩めて、ちょっと困惑気味の顔が目の前に戻ってくる。
「香奈、本気? 朝だよ?」
だから私は、そんな彼に微笑みかけた。
「だって、クリスマス・プレゼントは朝に開けるものでしょ?」
香奈――。
少し切なげに、彼が眉根を寄せる。そして、
「もう、君には本当に敵わない」
そう呟いた彼に、私はプレゼントを抱いたまま、ゆっくりと押し倒された。
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