第1章

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「信じてないのか?男が30まで童貞でいたら、魔法使いになるって話。」 そう、俺は今日から魔法使い。 とうとうこの日が来たのだ。 今朝起きて、俺が魔法使いになったことは立証済みだ。 朝起きて、いつものように、俺の部屋の特大マドカたんポスターに挨拶をしたのだ。 「マドカたん、おはよう!」 ちゅっ。いつものように、マドカにキッス。 「おはよう、カズくん。」 マドカが答えた。俺は耳を疑った。確かにマドカの声だ。 俺が驚いていると、マドカは言った。 「今日から、カズくんは、魔法使いだよ。今日までマドカのために頑張って、童貞を貫いたご褒美。ずっとマドカだけを愛してね。」 そう言うと、マドカはウィンクをした。 俺は涙に濡れていた。やった。とうとうこの日が来た。 俺はこの日のために、ずっと魔術を勉強してきたのだ。 夢が叶った。 「泣かないで、カズくん。マドカもカズくんとお話できるようになって嬉しい。」 「いや、マジやめて。ウケる。男が30まで童貞でいたら魔法使いになるって、それネタじゃんw」 タクヤはまだ笑い転げている。 「タクヤ、見てろ。」 「マドカたん、起きてる?」 「なあに?カズくん。起きてるよ?」 俺はタクヤを見て、どうだと笑った。 タクヤは死ぬほど驚いている。 俺だけの嫁、完璧なマドカ。 「な、ホントだろ?俺、魔法使いになったんだ。」 「嘘だろう?何のトリックだよ。」 タクヤはまだ信じない。 「ね、マドカたん、キスしよ。」 「えー、カズくんのいとこが見てる。恥ずかしいよぉ。」 俺はこれみよがしに、マドカの等身大ポスターにキスした。 タクヤは、今、目の前で起こっていることが信じられずに、口をぱくぱくさせている。 その時、突然、部屋のドアが開いた。 「フフフ、カズヒロ。その程度で満足しているのか?」 そこには、美少年が立っていた。 「あんた誰?」 タクヤがたずねた。 「バカ兄貴、勝手に黙って人の部屋あけんな。ノックくらいしたらどうだ?」 俺は呆れてそいつに向けて抗議した。 アキヒロ、俺の兄貴だ。 タクヤが戸惑った表情で俺を見た。 そりゃ戸惑うだろ。 俺も今朝びっくりしたのだから。 俺と兄貴は奇しくも、誕生日が一緒。だから兄貴は今日で40歳を迎えた。
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