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「信じてないのか?男が30まで童貞でいたら、魔法使いになるって話。」
そう、俺は今日から魔法使い。
とうとうこの日が来たのだ。
今朝起きて、俺が魔法使いになったことは立証済みだ。
朝起きて、いつものように、俺の部屋の特大マドカたんポスターに挨拶をしたのだ。
「マドカたん、おはよう!」
ちゅっ。いつものように、マドカにキッス。
「おはよう、カズくん。」
マドカが答えた。俺は耳を疑った。確かにマドカの声だ。
俺が驚いていると、マドカは言った。
「今日から、カズくんは、魔法使いだよ。今日までマドカのために頑張って、童貞を貫いたご褒美。ずっとマドカだけを愛してね。」
そう言うと、マドカはウィンクをした。
俺は涙に濡れていた。やった。とうとうこの日が来た。
俺はこの日のために、ずっと魔術を勉強してきたのだ。
夢が叶った。
「泣かないで、カズくん。マドカもカズくんとお話できるようになって嬉しい。」
「いや、マジやめて。ウケる。男が30まで童貞でいたら魔法使いになるって、それネタじゃんw」
タクヤはまだ笑い転げている。
「タクヤ、見てろ。」
「マドカたん、起きてる?」
「なあに?カズくん。起きてるよ?」
俺はタクヤを見て、どうだと笑った。
タクヤは死ぬほど驚いている。
俺だけの嫁、完璧なマドカ。
「な、ホントだろ?俺、魔法使いになったんだ。」
「嘘だろう?何のトリックだよ。」
タクヤはまだ信じない。
「ね、マドカたん、キスしよ。」
「えー、カズくんのいとこが見てる。恥ずかしいよぉ。」
俺はこれみよがしに、マドカの等身大ポスターにキスした。
タクヤは、今、目の前で起こっていることが信じられずに、口をぱくぱくさせている。
その時、突然、部屋のドアが開いた。
「フフフ、カズヒロ。その程度で満足しているのか?」
そこには、美少年が立っていた。
「あんた誰?」
タクヤがたずねた。
「バカ兄貴、勝手に黙って人の部屋あけんな。ノックくらいしたらどうだ?」
俺は呆れてそいつに向けて抗議した。
アキヒロ、俺の兄貴だ。
タクヤが戸惑った表情で俺を見た。
そりゃ戸惑うだろ。
俺も今朝びっくりしたのだから。
俺と兄貴は奇しくも、誕生日が一緒。だから兄貴は今日で40歳を迎えた。
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