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ハンドルを切り舗装された道路から両脇に麦畑が広がる砂利道に入り、丘の上に建つ一軒家に向けて車を走らせる。
両脇に広がる麦畑は、俺の彼女の両親が営む広大な麦畑の一角だ。
丘の上の一軒家は彼女の両親や兄弟が住む屋敷から数キロ離れた所に建つ、彼女の曾祖父母が住んでいた家である。
車を家の前の庭の一角に止め、夕食の良い匂いが漂ってくる母屋に向かう。
途中、放し飼いにしている数頭の飼い犬がじゃれ寄ってくる。
犬達を順番に撫でてから、家のドアを開け中に入った。
家の中に入った俺の目に映ったのは、居間で何かを制作するのに夢中な彼女の姿である。
俺は彼女に声をかけた。
「ただいま」
彼女は制作している物から顔を上げ、満面の笑顔を俺に見せ返事を返してくる。
「お帰りなさい! 」
俺は左手にぶら下げていた紙袋を少し持ち上げ、彼女に話しかけた。
「隣町のパン屋で君の好きなクッキーを買ってきたよ」
「ワ――嬉しい、夕食のあとデザートとして頂くわ。
今日はね、ニクジャガに挑戦してみたの、お肉は豚じゃなくて牛だけどね。
あなたの口に合うか分からないけど我慢して、お願い」
彼女は椅子から立ち上がり、俺に軽いキスをすると食堂に向かう。
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