欠点

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毎日毎日、 斉藤さんは私を捕まえてはうーたんの話をする。 ……というか。 最近は私を少しでも見掛けると すぐにやってきてうーたんの話。 苦笑いで聞いてる私のことなんて 全然気が付いてない。 うーたんの話しかしない斉藤さんは 好きではないが、 うーたんの話をしているときの斉藤さんはその、 ……うん。 ちょっと可愛いなー、とか思ってしまう。 「完璧な斉藤さん」とは全然別の顔。 子供みたいな笑顔で嬉しそうに話してる。 たまに、 この斉藤さんを知っているのが 私だけだったらいいのに、とか思ってしまう。 「朝比奈さん。 その、……今度うちにこない?」 「はい?」 その日も食堂で席に着いた途端、 見張られてたんじゃないかという勢いで 斉藤さんがやってきて私の前に座った。
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