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「職場で使うから、お前の服借りたぞ」
1月の中頃を過ぎたある夜、兄からそんな事後報告を受けた時は何も考えてなかった。
それから、二週間程経った頃、テレビを見ながらポテチをつまんでた時に彼はやってきた。
「あずー、こないだ借りた服、返すから玄関まで取りに来いー」
借りたんなら、自分で持ってきてくれたらいいのに…なんて思いながら、玄関まで行くと、兄以外にも人影があった。
「コイツだよ、あずの服着たの。妹のだって言ったら、顔が見てみたいって言うから連れて来たんだ。」
160cmの私より少しだけ背が高いくらいの男性が兄の後ろからこちらを見ていた。
「はじめまして、兄がお世話になってます。」
「こっちこそ、大事な服を貸して貰ってごめんね。助かったよ、ありがとう。」
「いえ……大丈夫です。……私、寒いから部屋に戻るね。おやすみなさい。」
そう言って、慌てて部屋に戻った。
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