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お店に着いたのに、何故かお店に入らない兄。 「ねぇ、私、お腹空いてるんだけど!そろそろ混む時間だし、早く行こうよ。」 「あ、あぁわかった。」 席に着いても、何だか兄はソワソワして落ち着かない様子だった。 「さっきから様子がおかしいよ。誰か来るの?もしかして、彼女出来たとか?私、邪魔だったら、今日じゃなくて良かったのに。」 「違うよ。彼女なんか出来てねーし。って、何を言わせてんだよ。」 そんなやりとりをしていると、誰かがテーブルの横に立つのを感じた。 「ほら、お兄ちゃんがモタモタしてるから、店員さん来ちゃったじゃない。何をごちそうしてもらおっかな~」 「こんばんは。遅くなって、すみません。ちょっと道に迷っちゃって。」 店員さんだと思ったのは、こないだの彼だった。 「お兄ちゃん、どういうこと?」 「悪い、服のお礼がしたいのこっち。いきなり2人でなんて、あずは嫌がると思って。」 確かに、人見知りが激しい私。 お礼に食事とか言われても、断ったに違いない。 「それでも、一言くらい言ってくれたら良かったのに……」 「ごめんね、あずさちゃん。和也さんに話したら、こんなことになっちゃって。今日は俺がごちそうするから、何でも頼んでね。好きなんでしょ?タラコパスタ。」 大好きなタラコパスタのことまで話してるって! 兄を軽く睨むと、サッと目を逸らされた。
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