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このあとどうしていいかわからない。
しかも、そろそろと背中を撫でてくれるシュウ殿の手にゾクゾクと感じ始めてしまった。
けど、今日は俺が甘やかすんだから…。
「シュウ殿、もっと甘えていいよ。俺が全部受け止めてあげるから」
強がり半分だが、撫でる手すらもシュウ殿が俺に甘えてきてるんだということにさせてもらおう。
「……そう言われてもどうしたらいいのか」
はぁ…もう、困ってる様子も可愛く見えてしまう。
可愛い。可愛い。
キスだ。シュウ殿の全てにキスしたい。
額にまぶたに鼻先にチュ、チュ…とキスを散らす。
そしてシュウ殿の形のいい唇にそっと指を這わせ、それから唇を合わせた。
二度三度と触れるだけのキスを交わし、互いが互いを求め合うほどに深いキスへと変わっていく。
「…んはぁ…ん…シュウ殿。可愛い」
俺が可愛いと言うたびに、シュウ殿の眉が困ったようにゆがむ。
それがまた可愛く思えてしまう。
今日はもうダメだ。
いつもはカッコ良さに見惚れるシュウ殿の鋭い目すら可愛く感じるようになってしまった。
「イチハ…可愛いなどと、やめてくれ。この目には一体何が映ってるんだ?」
「シュウ殿だって俺のことを可愛いと言う。俺はもうずっと前からシュウ殿の目はおかしいって思ってた。けど愛しい人を可愛いらしいと感じるのは普通のことでしょう?」
「イチハは私以外の多くの者にも可愛いと思われているよ」
「シュウ殿だって、アジュラン陛下を始め多くのご親類に可愛いと思われている」
「……それは、親兄弟は違うだろう?」
「俺は伴侶だから兄弟よりもシュウ殿を可愛いと思っていて当然だ」
「……まあ……。そう…言われれば…確かに」
ふうとため息をついて、諦めたように俺の身体をゆるく抱きしめる。
俺は勢いづいてさらにキスを重ねた。
「ぁは…んんっ……」
互いの身体にふれ合いながらキスを交わせば、すぐに欲情も高まる。
気付けばシュウ殿にまたがって胸にすがりつくようにキスを求めていた。
「ん…んぁ……」
下から腰をすりつけられれば、感じやす過ぎる俺の身体は自然と逃げる。
けれど、しっかり腰を手で押さえ付けられてしまえば、ぐりっと下半身同士のすれる感触に、あごをそらして震えるしかない。
俺がこんなになっているのに、シュウ殿がすっかり余裕を取り戻してしまったのが悔しい。
「シュウ殿、もっと…いっぱいあまえてください……」
完全に強がりだ。
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