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でも、その前に………。
「よしよし」
「どうしたイチハ」
シュウ殿の顔をギュッと胸に抱き込んで、頭を撫でる俺を不思議そうに見上げる。
「…もしかして、陛下に子供のようにあしらわれている事を慰めてくれているのか?けれど、そこまで気にしていないから大丈夫だ」
「それだけじゃないよ。いつもありがとうという感謝と、とても頑張っているシュウ殿を癒してあげたいから」
よかった。俺の行動は愛情あってのものだってちゃんとシュウ殿に伝わってる。
「そうか。ならばしばらくイチハに癒してもらおう」
シュウ殿が俺の肩に頭をもたれかけた。
ああ、シュウ殿が自分から俺に甘えてくれるなんて!
王都までの馬車の小旅行は、たまらなく甘く思い出深いものになりそうだ。
アジュラン陛下の助言に感謝をしつつ、俺はシュウ殿の額に愛情たっぷりのキスをした。
《終》
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