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「鬼子とは昔倒された魔王と同じ、黒髪緋目をした人物を指す差別用語ということはみなさんご存知ですよね?」
私の問いにみなさんが頷いたことを確認した私はさらに話を続けます
「見た通り、私は生まれつき黒髪緋目ですので簡単に言うと捨てられたんでしょう。気が付けば知らない村にいて、まあ殴る蹴るの暴力は当たり前という生活をおくっていました。そしてまあ、ルイさんに拾われたんです」
最後の方が結構ざっくりしてしまいましたがしょうがないですよね。どうやって拾われたのかまでは覚えていないんです
本当に寝て起きたら別の場所にいた、という感覚です。まあ、とくに困ることもなかったので聞こうとも思いませんでしたが
「あ、オルトくんは森で拾ったんだよ。森の中で小さい子どもが倒れてたからびっくりしたよ」
「それ、初耳なんですけど」
「あれ?そうだっけ」
なんでこの人はこう、適当なんですかね。結構重要なことですよ、これ
というか、結構重たい話だったのでみなさん静かになってしまいましたね。どうしましょうか?
「ねえねえ、オルの小さい頃ってどんな感じだったの?」
「どうも何も僕が拾った時からこんな感じだったよ?結構難しい言葉も使ってて子どもらしくなかったのを覚えてるよ」
突然白月さんが話し出したと思えば、何聞いてるんですか。というか、知ってるでしょ
白月さんがみなさんを巻き込んで子どもの頃の話を聞き始めました。あぁなるほど、これなら重苦しい空気になりませんもんね
「でも僕、娘欲しかったからオルトくんが女の子になって良かったなぁ…」
「いずれは戻りますよ?所詮薬品ですし」
「そんな!?せっかく娘ができたのに!」
「諦めなさい」
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