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「オル、落ち着いた?」
「すみません、お見苦しい所をお見せしました」
しばらくして落ち着きを取り戻したので寝室に戻りベッドに座って話すことにしました
「夢を、見たんです…私が魔王だった頃の、あなたに出会ってから、私が」
そこまで話すと何かを察したようで白月さんに抱き締められていました。あの頃と何も変わらない温もりに安心感を覚えた私は話を続けました
「あの時の感覚が、妙にリアルで、忘れられなくて、起きたらあなたが隣にいないことに気がついて、」
「それであんなに焦ってたってこと?」
「はい、」
白月さんの問いに小さく頷くと抱き締める力が強くなったような気がしました
ごめん、と呟く白月さんの顔は自分に対する怒りや後悔でいっぱいでした。…違う、あなたにそんな顔をして欲しいわけじゃないんです
気が付けば私は、白月さんに口付けていました
「オ、ル…?」
白月さんは状況が理解出来ていないのかとても驚いた表情をしていました
「昔、あなたに教えていただいた元気の出るまじないです。…効きましたか?」
「馬鹿だね、オルは。いつもそうだ、人のことばっかり気にして、」
また、白月さんの表情が沈んでしまいました。そんな顔が見たいわけじゃないのに、
まじないが足りないのでしょうか?そう思った私はもう一度白月さんに口付けました
「ちょ、お、オル!僕はもう元気だから!」
「そう、ですか?ならいいんですが…」
無理、してないといいんですが…白月さんだって、私ばかり気にして自分のこと気にしていないじゃないですか
「オル、まだ早いから寝なよ」
「隣、いてくれますか、」
「え、そ、それは…」
「不安、なんです…また、あなたがいなくなるんじゃないかと、」
今日の私はおかしいです。いつもなら、こんなことないのに、やっぱり迷惑、ですよね
「やっぱりいいで「オルが起きるまで隣にいてあげる。だから安心して寝なよ」…はい」
私は白月さんとベッドに横になりました。いつもなら背を向けて寝るんですが、今日は白月さんの方を向いて寝ることにしました
白月さんの体温に安心して、私はそのまま眠りに落ちました
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