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「だからねぇ。ファントムちゃん」
私は分身を操り、奴に突っ込んだ。どれが本物かくらいはすぐに分かる。
動き方がいびつ。真ん中と右端の奴は動き方が不自然。上手く操れていない証拠だ。
つまり一番自然体である左端が本物!
「黙れぇ!」
3人で一気に畳み掛けた。左端の本物の氷山郡司に。
その瞬間、真ん中の奴が不意に笑う。笑みを作る。
その笑みの意味を、私はすぐに知った。左端の氷山郡司がふわりと煙のように消えたのを見て悟った。
まさか、偽物……?
「ぐっ……!」
不意に脇腹に強い衝撃が走る。真ん中の奴の拳が私の右腹部をとらえる。
重い。パンチがとてつもなく重たい。
コピー師は間違いなく非戦闘系職業だ。つまりこいつには何の身体強化もついていない。
なのにこのパンチの重さ。こいつは素で強いんだ。
「かはっ……!」
たった一発で吐血する。口から血が出てくる。血が地面に落ちる。
どうしてだ。なんで左端のが偽物だった。
まさか、氷山の罠……?
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