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「何でも出来ちゃうからコピー師なの。
動きがとっっっても自然体に見えたでしょ?偽物のア・タ・シ」
まさかそんな。こいつは計算してそれをしたのか?
偽物が本物に見えるように。本物が偽物に見えるように。わざと動きを作ったと?
瞬きの回数とか、クネクネした気持ちの悪い仕草とか、指の動かし方、足の動かし方とか。そんな歪に見える動作の一つ一つを作り上げた。
全ての神経を偽物の方に集中させていたのか?
「っーー!」
もう一体の氷山郡司が私の分身を一瞬で消し去った。
私は本物の氷山に首元を掴まれる。
息が出来なくなる。こいつの握力が、私の首を絞め付ける。どんどん力が強くなる。
「あなたこそもっと練習した方がいいんじゃなぁい?
丸分かりよ。本物ちゃん」
「だ……まれ。オカマ……やろう」
その言葉を吐いた瞬間、奴の表情が変わる。
私は、本物の殺気と言うものを感じた事がなかった。
向けられた事がなかった。
誰かから「殺してやる」という気を、本気で向けられた事がなかった。
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