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賞金首ゲームを始めて色んな人を見てきた。色んな人が、私に敵意を向けてきた。肌に刺さるような、鋭い敵意を。
殺気もたぶんその中にあった。思い返せば、いくつか思い当たる節はある。
でもそんな殺気、本物じゃない。今この瞬間に感じているこの殺気が本物だ。そう断言出来る。
肌に突き刺さる。息をするのを忘れる。時間が止まったように感じる。
たった一言発するだけでも、怖くて口が動かない。流れる汗が、下に落ちないかと心配になる。落ちた拍子に殺気が襲ってこないかと、恐怖する。
心臓が鳴るその音でさえも、今の私には恐怖を駆り立てる一つの音でしかなかった。
物音一つ立てたくない。立てれば殺される。襲われる。
これが本物の殺気。今までのが可愛くみえるくらい、それは研ぎ澄まされていた。
今までのがなまくらに感じるくらい、本物の殺気は切れ味があった。
私がオカマ野郎と罵った瞬間、私はその殺気を体験した。
今までのが可愛くみえるくらい殺気。息をし忘れるくらいの殺気。
氷山郡司からの殺気、ではない。
オカマ野郎と罵った時に氷山郡司から滲み出た殺気すらも、それに比べれば可愛く思えた。
私の横目に見える、そいつが出す殺気に比べたら、氷山郡司なんか赤ん坊同然だった。
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