雨森時雨3

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人は見かけによらないものだ。 肌が白くて腕も足も細い。 顔立ちは整っていてどちらかと言えば美人に属する蓮香が、実はその辺の男よりも強かったり。 いつもヘラヘラしていて頭の中、年中日本晴れみたいな機羅が、実はその蓮香と肩を並べるくらい強かったり。 「おい時雨。お前今俺の事ひどい目で見てなかったか?」 「え?見てないよ。気のせいだと思うよ」 人は見かけによらない。 蓮香も、機羅も。 そして僕もたぶん、他の人が見てる印象と中身とでは相反する何かがあるはずだ。 人間なんだから意外な一面があっても、何ら不思議はない。 だから僕らは驚いた。物凄く驚いた。 まさかあの人が。最初に機羅がノックアウトした、手も足も出なかったあの人が。 めっちゃくちゃ弱かったあの人が。 まさか700万の賞金首だったなんて。
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