雨森時雨3

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「来るなぁ!」 「そこまで嫌がるならもう来ないけど、後で復縁しようなんて言わないでよね」 どこかも分からない部屋のベッドの上。そこで僕はガバッと起き上がった。 そして誰かも知らない女の人が、寝ぼけて出した僕の大声に返事をした。 「私はただあなたの事が好きだっただけなのに、あなたの頭の中には別の人がいたのね」 「えっと……」 見た所どこかの宿屋みたいだ。 1人部屋でベッドの側には窓があり、外を見れば人が歩いている。 部屋にはテーブルが置いてあり、椅子が二脚あった。 隣では女の人が部屋の中にある二脚の椅子の内の一脚に腰を下ろしており、本を読んでいた。 「ここは、どこですか?」 「ラブホテルよ」 どうしてこういう状況になっているのか、さっぱり見当がつかない。記憶が混濁している。 頭の中を整理したいのだが、隣にいるこの女の人がさらに混乱を招く。 冗談……だよな。
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