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さっきから本にばかり目をやっていた彼女が、初めて僕と目を合わせてくれた。
可愛いと表現するより、美人といった方がしっくりくる。
どこかのお嬢様みたいな人だ。
「あなた。あれだけ激しくしておいて何も覚えていないの?」
「もうそれはいいです」
話が前に進まない。見た目と中身がそぐっていない。
「森であなたが倒れていたの。
それを見つけた私がここまで運んで来たのよ」
彼女がトントンと自分の胸を指差す。いや、そんな所を指差して何を言いたいのか。
またさっきの続きか?と身構えたが、そうではないらしい。
ベッドから勢いよく起きたせいで布団がまくれ、僕の上半身が露わになっていた。
服が無かった。
「なっ!何で!?」
咄嗟に色々な所を隠した。
色々だ。
「見つけた時にあざが少しあったから。脱がせてもらったわ。
別にあなたの貞操は奪ってないから安心しなさい」
別にそんな心配はしてないが。
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