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「名前を教えてくれるかしら?」
「……あ」
色々と心構えをしていたから、少し拍子が抜けたそう言えば名乗っていなかった。僕も彼女も。
起きていきなり突飛な冗談を言われたから、失念していた。
「雨森時雨です」
「雨森時雨くんね
私は神頭彩芽。神様の頭と書いて神頭。色彩の彩に芽生えると書いて彩芽よ」
かんとう。神頭。神様の頭。
物凄くご利益のありそうな名前だな。
文字通り頭良さそうなイメージだし。
「別に頭は良くないわよ。完全な名前負け」
僕の思考を読んだようにそう言う彼女だったが、別に心を読んだわけではないだろう。
誰だってこの名前を聞けば同じ事を考える。
頭良さそうな名前ですね。というありきたりな話題に対して先手を打っただけなのだろう。
「私の聞きたい事は以上よ。あなたは他に質問ある?」
「え……?」
思わず聞き返してしまった。
聞きたい事は以上?終わり?
普通ならもっと突っ込んで聞いてきそうだけど。どうして森で倒れていたのかとか、仲間はいないのかとか。
そんな事に興味はないのだろうか。
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