雨森時雨3

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「名前を教えてくれるかしら?」 「……あ」 色々と心構えをしていたから、少し拍子が抜けたそう言えば名乗っていなかった。僕も彼女も。 起きていきなり突飛な冗談を言われたから、失念していた。 「雨森時雨です」 「雨森時雨くんね 私は神頭彩芽。神様の頭と書いて神頭。色彩の彩に芽生えると書いて彩芽よ」 かんとう。神頭。神様の頭。 物凄くご利益のありそうな名前だな。 文字通り頭良さそうなイメージだし。 「別に頭は良くないわよ。完全な名前負け」 僕の思考を読んだようにそう言う彼女だったが、別に心を読んだわけではないだろう。 誰だってこの名前を聞けば同じ事を考える。 頭良さそうな名前ですね。というありきたりな話題に対して先手を打っただけなのだろう。 「私の聞きたい事は以上よ。あなたは他に質問ある?」 「え……?」 思わず聞き返してしまった。 聞きたい事は以上?終わり? 普通ならもっと突っ込んで聞いてきそうだけど。どうして森で倒れていたのかとか、仲間はいないのかとか。 そんな事に興味はないのだろうか。
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