雨森時雨3

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「体ごとゲームに入っている……が正解ですかね」 ゲームをプレイしている時、僕らの体は現実世界ではどうなっているのか。その質問に対して考えて出した答えがこれだ。 神頭さんは頷く。 「そう。ではまた質問。 人を二次元の中にねじ込むのと、人を全く別のどこかへワープさせるの。 どちらの方が現実的に可能な話だと思う?」 「あ……」 そうか。そういう事か。合点がいった。 神頭さんの言いたいのはつまり単純な推理だ。 人を量子分解してゲームの中、つまりネットワークの中に接続させる方法と。 どこかにワープさせる方法。 どちらが現実的なのかを考えた結果……。 「それは……ワープの方が現実的ですね」 量子分解できるならワープも可能だ。わざわざ次の行程である人間とネットワークを接続する必要がない。 つまり今僕らがたっているここは現実世界。現実世界のどこか。そう推理するのは当然の成り行きだ。 さらにワープが出来るとするならば、ここのゲームのシステムにある程度説明がつく。 「分かったみたいね。ここは現実世界と何ら変わらない。 賞金首ゲームは人が作ったの。決して魔法の産物ではないわ。 だから雨森時雨くん」 神頭さんは言葉を切って僕の目を見つめた。
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