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「ログアウトしたら賞金首ゲームの事は決して知られてはいけない。
悟られてもいけない。私達が考えている以上に、このゲームの裏には大きな組織が絡んでいる。
何せこのゲームの舞台である島を所有しているほどの組織なんだから。
運営に目を付けられたらこの世界にも、あっちの世界にも逃げ場はない」
それがこの世界が現実世界であるという事が証明された時に出る結論。
ゲームの中ではなく、現実世界でこのゲームの中のような物を作り出せる組織。
確かにそんな組織に目を付けられたらたまった物ではない。
僕は少し寒気を感じた。
ゲームという単語に少しばかり楽観的なイメージを持っていたのかもしれない。
賞金首ゲーム。闇のゲームだとは感じつつも、それでもゲーム。
現実世界に戻れば何も危害はない、と自分で勝手に結論付けていた。
賞金首ゲームの事さえ口に出さなければ大丈夫。そう思っていた。
でも違うのかもしれない。
ここは現実世界。ログアウトしても現実世界。
同じ所なんだ。ここで逃げ場がなくなれば、あちらでも追い詰められる可能性は十分にある。
「ご忠告……ありがとうございます」
僕は深々と頭を下げた。彼女は無表情で肩をすくめる。
「礼には及ばないわ。当然の事をしたまでだもの」
その場を締めくくるように、最初の方に言った言葉を繰り返す彼女だった。
僕はタブレットを取り出し、電話のアイコンをタップする。
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