幸田吉喜1

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賞金首ゲーム。 僕はそれを、初めはテレビゲームか何かだと勘違いしていた。 人生ゲーム、スゴロクゲーム、賞金首ゲームみたいな。 裏側のネットで囁かれているゲーム。いろんな書き込みがあるんだけど、何だか書いてる事が中二病ちっく。 これが現実ならはっきり言ってこの日本はこのゲームのせいで崩壊する。秩序が根っこから崩れて、そこから上はビルが崩壊するように崩れ去る。 どこまでが本当でどこまでが嘘なのか分からないが、そのゲームに関する書き込みはどれも信じがたい物ばかりだった。 馬鹿らしい。僕でも笑えてしまう。半分空想世界の人間のようなこの僕でも。 そんな物、所詮は誰かが書き込んだ文字でしかない。 単なるゲームの楽しみを広げるための演出。自分達だけで盛り上がるための書き込み。 自分がゲームの中に入り込んだと仮定して、頭の中でモンスターと戦ってるような奴の書き込み。 その程度だと思っていた。 だってそうだろ? 誰々に殺されかけたとか。一人捕縛。今月はこれで暮らせるぜ!とか。 ちょっ。職業マジでぱねぇの出た、とか。 そんな書き込みがツラツラと続いてるんだけど、これがゲームの中の話じゃなくてなんなんだ。 僕はパソコンの画面を下にスクロールしながらそんな稚拙な書き込みを読む。 その中にたまたま賞金首ゲームの売り出し価格が書かれていた。たまたまだ。別に探していたわけじゃない。 けどその金額は、賞金首ゲームの実在性を強く主張するような額だった。 それを見て、少し寒気を感じた。
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