九地 クレハ1

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私は小松井英知と言う、いつもヘラヘラと締まらない顔をしている男の事が好きだ。 隙あらば他の女性に色目を使い、常日頃から訳の分からないなキャラクターで自分を見せないあのバカが好きだ。 ただ客観的に、私があいつの事を見ているだけだとしたら、私はあいつの事を好きにはならなかっただろう。 ヘラヘラしてる脳内ピンク男って感じで、その部分だけを見ていたらたぶん好きになっていない。たぶんじゃないな。絶対だ。 別に男前って奴でもないし、金持ちって訳でもない。 ただの不思議ちゃんだ。 けど私はあいつを好きになった。 私とあいつの境遇が似ていたから。 でもあいつは違った。私と違って強く生きていたから。
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