幸田吉喜1

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100万円のゲームなのだから、もしかするとアニメみたいな完全五感感知システム付きの、いわゆるバーチャルゲームみたいなのを想像していたが、届いたのは想像以上に小さな荷物だった。 箱を開けて中身を確認する。 ……何だこれ。 『首に取り付けて下さい』 そう書かれた紙切れが一枚と怪しげな機械。えらく大雑把な取り扱い説明書だな。普通何かしら前置きみたいなのがあるだろうに。 童話の孫悟空が頭につけている輪みたいな形の機械。色はシルバー、スイッチらしき物は見当たらない。本当にこれゲームなのか? 多様な首の太さに合うように伸び縮みする箇所があった。引っ張ればカチカチカチと音がする。 しかしながら首に付けるってのは少し躊躇いがあるよな。締め付けられたりしないよな。棘が出てきたりしないよな。 まぁでも付けなきゃ始まらないし。 もう一度スイッチの有無を確認する。 やっぱりないな。これでどうやってゲームを開始するんだ? ケーブルもなければ液晶画面もない。差し込み口もないし、開くような仕掛けもない。まぁとりあえず付けてから考えるか。 僕はそれを長さを調節して首につけた。さながらネックレスでもつけるみたいに、なんとなく。 その瞬間、僕の体は異変に襲われた。目眩がして、視界が大きく歪んだ。
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