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僕は幸運男だ。
名前も幸田吉喜。
こうだよしきと読むのだが、名前の中に幸、吉、喜といった縁の良い字が3つも並んでいる。
その幸運を発揮したのは生まれて間もないころだった。
当時0歳だった僕に、なんでも親父の遊び心で宝くじの番号選びをさせたらしい。なんでもない、ただ僕が指差した番号で応募するというだけの話だ。
ところがそのなんでもない遊び心が僕らの人生を一変させる。
まず手始めにその宝くじで3億が当たった。僕の指差した奴がどんぴしゃりだ。
紛れも無い一等だ。
これが僕の最大の戦果なのだけれど、けどはっきり言って0歳の時の事だから覚えていない。
覚えていないし、別段宝くじが当たっても今は何とも思わない。買えば当たるから。
宝くじは夢を買うもの。そんな風に言われ出したのはいつからだっけ。普通の人はそうかもしれないが、僕にしてみれば宝くじはお金を買う物だ。
お金でお金を買う。しかも何千倍というお金を買う。
物心つく頃には、僕は自分の幸運さについて少しずつ理解していった。
自販機でジュースを買えば、故障か誤作動かは知らないが必ず余分に一本出てくる。
たまに二本出てくる。
商店街のくじ引きでは一等から順番に当てていく。
三回引けば一等、二等、三等だ。
テストの問題では選択問題を外した記憶が一つたりともない。
適当に書けば必ず当たった。
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