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童話 「Chain out」
第一章 「ひかく」
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました。
おじいさんが山でしばかりをしていると、遠くのほうから泣き声が聞こえてきました。
「おんぎゃー、おんぎゃー、おんぎゃー!」
「ん?、こりゃー赤んぼうの泣き声でないかのー」
おじいさんが泣き声のする方へ歩いていくと、こかげに赤んぼうが捨てられていました。
「なんということじゃ! こんなところでただひとり置き去りにされて、かわいそうに! このままでは明日にでも死んでしまうわい」
赤んぼうをかわいそうに思ったおじいさんは、家へつれて帰ることにしました。
そして、この赤んぼうを太郎と名づけておばあさんといっしょに育てることにしました。
そして、太郎が拾われて十年ほどの月日が流れたころに、太郎にある異変が起きました。なんと、頭のてっぺんから角が生えてきたのです。はじめは小さな豆つぶほどだったそれが、あれよあれよと大きくなって大人のおや指ほどの角に成長しました。
実は、この角は本当は角ではなくて、皮角(ひかく)という角のような形をした皮膚(ひふ)の腫瘍(しゅよう)だったのです。しかし、その当時はそんな病気があることをだれも知りませんでした。
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