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俺は、理想の女性、沙耶をゲットするために、休日だけの仮の姿、理子を最大限に利用した。
平日は、爽やかかつ、クールな万能イケメン優等生、間宮祐輔として彼女に接し、休日は理子となり、沙耶との交遊を深め、彼女の趣味やマイブーム、好きな男性のタイプなどを聞きだし、間宮祐輔に反映させる。
UKロックが好きと聞けばCDを買いあさり、芥川龍之介が好きと聞けばとりあえず『羅生門』を読み、面白い人が好きと聞けばお笑いライブのDVDを研究し、ステキな笑顔に胸キュンと聞いてからは、毎朝、鏡の前でのトレーニングを欠かさず行った。
そして、俺と彼女の間は急接近。
授業中のみならず、昼食も、放課後も、俺の隣にいる時間が日に日に増えていった。
そしてひと月が立った頃。
放課後、屋上。
課外授業を二人でさぼり、夕日を眺める。
…いい感じだ。
「なあ、沙耶って好きな人とかいるの?」
「いるよー」
「そっかー。どんな人?」
(にこっ)
「おしえなーい」
「えー」
ふふ…。まあいい。
理子に聞かせれば済む。
理想の彼女を手に入れる日も近い!
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