④ こうりゃく!

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そして、日曜日。 この日は、二人で入会した、月に2回行われるテニスサークルの練習の日。 アップを終え、2セットばかりラリーをこなした後のベンチでの会話。 「ねー、沙耶。気になる人とかいる?」 「んー、いるよ」 「どんな人?」 「えっとね、同じクラスの男の子。席が隣なんだー」 「へー」 おっしゃぁぁぁあああああ! 「でもね、学校イチのイケメンだから、私の事見てくれてるかわかんないんだけどねー」 見てますよぉぉぉぉおおおおお! 「あとね、もう一人いてー」 なぬ!? 「も、、、もう一人?」 「うん」 『パコーン』 遠い目。 彼女の目線の先には華麗なラケットさばきでラリーを続けるイケメン大学生。 このテニスサークルのエースだ。 ま、まさか…。 「まさか、鈴木君?」 「え? あ…そう。(にこっ)わかっちゃった?」 ピーーーンチ!!! 「わ、わかるよぉ…」 ななな、何かこの窮地を脱する方法は… 「だって…す、鈴木君カッコいいもんねー」 「あ、リコもそう思う?」 「う、うん」 な、なんでアシストしてるんだ、俺は。 「もしかして、リコも鈴木君のこと?」 そ、そうだ! 「うん。私も鈴木君のこと好きかなー」 こ、これしかない。 「そっかー。じゃあリコは私のライバルだ。困ったなー、リコが相手じゃ勝てる気しないや」 「で、でも沙耶はもう一人好きな人いるんでしょ?」 「そうだね。じゃあ、鈴木君は譲って、その人に全力だそうかなー」 なんか、消去法で選ばれたみたいで納得いかないが… 「そうしてくれると助かるな…なんてね」 相手は大学生。しかも同じ土俵(テニスサークルの舞台)に間宮祐輔が立つ事はできない。 「鈴木君、こないだ彼女と別れたんだって」 「へー」 「狙うなら今だよ(にこっ)」 ふふふ…。 そうさせてもらおう。 沙耶は誰にも渡さん!!! こうして俺様、いや私は“鈴木君”にアタックをかけ、見事落とす事に成功。 ふっふっふ。 俺様が育て上げたパーフェクトガール、理子の手にかかれば、大学生の一人や二人、攻略する事など朝飯前よ。 参ったか! はーはっはっは!!!
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