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そこからは多少、記憶がない。
気づけば、店の紙袋を手に彼女と並んで歩いていた。
「ねえ、そのブラウス、今度貸してよ」
「え?」
「いいでしょ♪私、サヤ。あなたは?」
「あ、私は…理子」
「リコ、ね。よろしく♪」
「よ、よろしく」
「ね、私このあと塾行かなきゃだからさ、とりあえずメアド教えてよ」
「あ、うん」
俺はこの時ほど神に感謝した事はない。
女子力をアップさせる為に購入していた理子専用のブランドコラボのスマホ。
女子力全開の可愛らしいメアドを伝える。
「ありがと~。じゃ、連絡するね!」
ウインクを残し、改札へと去るサヤ。
俺はこの後しばらく、その場に立ちすくんでいた。
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