169人が本棚に入れています
本棚に追加
「その女が欲しているものを俺たちなりに考えて、欲する世界を描くってことですか?」
ユアンの答えに彼は頬を染めたまま瞼を閉じた。
「彼女の欲望を満たせる世界は、どんな世界かって?」
「誰が女を満たせられるか?」
「女を引き留められる国は何処か?そういうこと?」
河南さんと、ユアンが、乾の出したテーマに、案を練る声を聞きながら、俺は別のことを考えていた。
乾の思い描く女がどんな女だろうか。
乾は、どんな女の心を満たしたいと考えているのだろうか?
その女はこの世に存在する女なのだろうか。
その女を、愛しているのか。
その女は、----- 俺の知っている”誰か”なのか。
なんとも言えない感情に突き動かされ、その感情から逃げ出そうと、目の前の酒をあおった。
最初のコメントを投稿しよう!