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辛口の日本酒は、鼻腔の奥にこびりついて、 この残酷な世界から、俺の過去が、 切り離されることなどないのだと、楔をはめられた気分になった。 目の前の景色を消そうと躍起になって、器に丁寧に盛られた皿の中身を開けた。 酒のつまみに出された干し柿の隣に、真っ赤な寒椿がそっと飾られている。 瑞々しいその紅色を眺めていると、ふと、加藤繭香を思い出した。
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