169人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は、その女が、観たい舞台を創りたい。
泣きたい夜に、切ない想いで押しつぶされそうな時に、
そんな現実も記憶の痛みも、全てが吹き飛ぶような。
自分の世界はなんてちっぽけなんだと、
そう思うぐらい別世界へと連れていってくれる。
そんな舞台を、創ってみたいです」
みんなの視線が俺へと集まった。
乾徹の目が細まり、口元には笑みが浮かんでいる。
やってやる。
俺は俺のやり方で、伝えるんだ。
「舞台の上では、演出家としての経験年数なんて関係ないです。
観客にとって、俺たちは舞台を作るプロである。
ただそれだけです。俺は、挑戦します」
最初のコメントを投稿しよう!