抱きたい男side hibiki 4

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加藤繭香は、席に座ったまま、 ステージがあるこちら側へとまっすぐに顔を向けている。 どんな顔をして、ライトも灯されていないステージを見つめているのだろうか。 その表情までは、俺には見えない。 微動だにしない彼女は、見つめる先にある空っぽのステージを、 どんな想いを抱いて眺め、どんなショーを観ているのだろう。 俺は、本来の目的をそっちのけに、彼女の心に寄り添うようにして、彼女の目に映るショーと、そして、彼女自身を観ていた。
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