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その後も省吾くんは、ちょくちょく現れるようになった。
と、言っても話すことはほとんどない。
省吾くんが来るのは、平日の夜が多くて、こっちは残業ばっかりだし、お風呂入って、ご飯食べて、部屋で勉強して…ウ~ン、おやすみなさい。
あの岩山が家を移動しているのを見かけても、挨拶をする程度だった。
ある土曜日、イベントのために早朝に家を出ようとすると、駅前で省吾くんに会った。
「ああ、おはよー」
「おはようございます」
省吾くんは、コンビニ帰りらしかった。
「休みなのに、出勤ですか?」
「うん、そう。天気がよくて良かった~。今日は外仕事なの」
「そうですか。ジブンはだいたい外なんで」
「省吾くんは、なんのお仕事してるの?」
「ジブンは警察官です」
おお!
そうなんだ、なっとく!
「体格いいもんね~」
「今日、夜また伺います」
「お父さん、喜んでるよ。どうぞごゆっくり」
「あ、どうも。行ってらっしゃい」
手をふった。
そうかそうか。
ああいう人が、市民の安全を守ってくれてるのか。
ありがたや、ありがたや。
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