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「ぜったい楽しいことを、その方が楽なことを蹴っ飛ばしちゃうんだ…」
吹き出しちゃった。
否定できない。
今のこの状況みたら、よけいに。
「笑ってるし…」
「社長は面白いなぁ。言うことに毒がなくて。誰からも好かれるのが分かりますよ。言葉の選び方にセンスがあります。頭がいい」
いい会社に入った。
倒産しちゃっても、そんなことにはならないように頑張るけど、本望だ。
高橋くんが手を引っ張った。
「ねぇねぇねぇ!本当にウチに泊まって!」
「イヤです。JRが私を待ってます」
「そんなもん明日まで待たせとけっっ!!」
最後は物凄い剣幕だった。
肩を怒らせている。
高橋くんが怒るところ、初めて見た。
「泊まってけって言ったら泊まってけよ!あと社長って呼ぶな!なんか遠くなる!」
「…けーすけくん。今日はゆっくり休みたいから、お家に帰るね」
高橋くんの動きが止まった。
笑いが込み上げてきた。
深夜の歩道で笑い転げた。
あっけに取られた高橋くんの顔がおかしくて、おかしくて。
「そんなの小学校以来…」
ケースケくんが、うつむき加減で笑った。
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