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…え? と、口にするヒマもなかった。 イスから腰が離れたかと思うと、省吾くんと唇が重なっていた。 アタマがマッシロ。 パニック。 なにが何だか分からない。 気づいたら、足が地面から離れて、目の前に切れ長の目が鋭くこちらを見ていた。 「好きです」 それは、アリガトウ… いやいや、え?え?え?え? だー!またキスされてるー! やみくもにもがいたところで、そこはウエイトが違う。 そもそも文字通り、地に足が着いてないんだから。 のめり込むようなキスが続いて、アタマがボーッとしてきた。 「初めて?」 うなずいた。 「ムリしない。ぜったい優しくする」 抱き上げられて、キスされながら二階に運ばれた。 私の部屋… まさか家を建て直した時、こんな日が来るとは… 「ああ…かっわいい」 省吾くんの感に堪えかねたような声がした。 カラダ中に降ってくるキスに、肺が空気を求めてあえいだ。 その口に太い指が入ってくる。 指が私の舌をなでる。 「う…ううん…」 熱い。 人のカラダって、こんなに熱いの? 服の上からでも伝わってくるのに、省吾くんは服を脱いだ。 暗がりの中で、その大きなシルエットだけが見えた。 「怖い?」 抱きしめられた。 熱い。 ヤケドしそう。 「わ、わからないもう」 「オマエは、かわいいよ」
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