第1章

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犬語がわかる器械を装着していた僕は、偶然憧れの愛さんに出くわした。 A「いつもより良く吠えるね、タロ」 犬(大事なことを教えてやると言うとるのだ) A「なんか見つけた?」 (あそこにいる男、おぬしの尻を嗅ぎたそうだが) ギクッ。 A「あの鳩と遊びたいの?」 (簡単に嗅がせないことだ、格下と思われぬよう) A「私はずっとタロと遊んでたいのにな」 (…お、おぬしが遠くへ行ってしまうとご主人様が言ってたから、わしは良き伴侶の見つけ方をだな) A「タロと離れるなんて」 (さっきの男はダメだぞ、匂いからして随分長い間おぬしを待っていたようだが挨拶にも来ない。いざというとき女子供を守る勇気もなかろう) A「なんで東京の大学なんか受けたんだろ…」 (わしの足で行ける所なのか東京とやらは) A「ねぇ、タロ……なんか言ってよ」 今、この器械を貸すべきか、僕は悩んでいる。
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