第1章

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 『イタクァ』に命中すると同時に、先端部分のブースターがより一層強く火を噴いた。  すると、先端部分は『イタクァ』を貫き、『イタクァ』の体に巻きついて行った。  と、『イタクァ』は絵の光を失うと、機能を停止してしまう。どうやら、弱点を撃ち抜いたらしかった。  「ううん?よく分からん」  流輝は自分の攻撃が、あまりに予想外で、少し驚いてしまった。  と、警告音が響き、右に矢印が表示される。  流輝は右――と言うよりは『クトゥルフ』のサブカメラがとらえていたもの――を見ると、そこにはレールガンを二つ構えた『イタクァ』の姿があった。  「撃たせるかよ!!」  流輝は叫ぶと、銃を手にしている左手を振るうと、確保している『イタクァ』ごと銃を動かし、こっちを狙って来ている別の『イタクァ』に命中させる。  と、ぶつけられた『イタクァ』はレールガンを取り落とし、そのまま捉えた『イタクァ』と絡まりあって倒れこむ。  すると、いくつかの家が潰されていく。  「クッ……気をつけなくちゃ…………」  と、動ける方の『イタクァ』が上に乗る、動かない『イタクァ』をどけ、自由になろうとする。  それを見た流輝は確実にとどめを刺すことにする。  一度はしまいこんだ斧を取り出すと、構える。どうやら斧の名前は『ダゴン』触手射出装置は『ハイドラ』と言うらしい。  その時、気付いた。  「俺、どうして戦ってるんだ?」  流輝は気付いていなかった。  今、自分の事を『俺』と言っていたことに、  「ま、いっか」  流輝は開き直ると、倒れている『イタクァ』に向かって走って行く。  それに気が付いた『イタクァ』は何とか自由になった右腕を動かすと、ビーム砲を構えると、適当に乱射して来た。  が、流輝はそれらを全て躱すと、飛び上がり、着地と同時に斧を叩きこむ。  すると、斧は『イタクァ』二体を軽く切断し、完全に機能停止へと陥れて、『クトゥルフ』が離れると同時に爆発した。  ちなみに『ハイドラ』の触手は回収され、もう一度射出口にマウントされていた。  「よし、終わったか」  その間に、もう一体残っていた『イタクァ』は、謎の襲撃者によって、沈黙させられていた。  流輝は一息つくと、辺りを見渡した。  いつの間にか被害は拡大していて、まれに見る大災害となっていた。町の四割は崩壊、もしくは焼失していて、家事による被害は増える一方だった。
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