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何か、温かい物を感じたのだった。
「…………」
目を開いた先
そこには―――――
二つの光が見えた。
そしてそれを最後に
僕は意識を失った。
その十時間後
僕はニュージーランドの海岸で打ち上げられているところを発見され、たまたまそこに来た人に
救出された。
が、その時僕は意識を失ったままで、三日間目が覚めなかったという。
病院で目が覚めた後、そこにいた医師の人や日本からわざわざ来てくれた立木のおばさんから教えられて、僕はいろいろなことを知った。
僕や両親が乗っていたあの客船は、偶然流れてきた流氷に当たり、船底に穴が開き、沈んでしまったらしい。
懸命の救助活動にも関わらず、死傷者、行方不明者が多数出たらしい。
その中には僕の両親も含まれていた。
唯一の生存者と言う事だったが、まだ幼かったこと、精神的に酷い苦痛を背負ったこと等から情報は全て秘匿されたらしい。
その後、僕は日本に送られ、大きい精神科の病院に入院し、そこでリハビリを行い、普通の生活を送ることができるようになったのだった。
そして、今、僕は十七歳になっていた。
現在
日本の某所
都心から少し離れたところにある巨大な施設があった。そこを管理している組織名を『イカン』といい、ある特殊な事案を扱っている施設であり、組織だった。
その存在は世間一般には秘匿されているものの、国家からの許可は下りており、建前としては、自衛隊の訓練施設と言うことになっている。
そこで一人の男が呼び出されていた。
男の名前はダーレス・L・クラフトといい、ここ『イカン』の隊長でもあった。
見た目は、四十代のおっさんだが背は真っすぐ伸びていて、スーツもしっかりと着こなしていた。一切の着崩れが無かった。
それだけ見ると、新卒の就活生にも見えた。
部屋には二人しかおらず、呼び出してきた男がダーレスに報告した。
「ダーレス隊長、『クトゥルフ』の反応が確認されました」
「そうか、どこでだ?」
「それが、移動しているらしいんです」
「どこに向かってるんだ」
「それが……」
そういうと、手元にあったパソコンを起動させると、空中投影型プロジェクターから映像が投影される。
すると、赤い点が一つ、日本に近づいているのが確認できた。
平均時速も計測されていて、推定到着時間も割り出されていた。
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