第1章

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 ここは海から少し離れているので、よく海の香りがするのだ。  「…………」  今では平気だが、昔は苦手だった。  らしい。  実は流輝、昔の事故の事をあまり覚えていないのだ。  溺れてからの後、流輝は相当錯乱していたらしく、海に関する何かを感じると、暴れ出したりしていたらしい。  が、正気に戻ってからは事故にあってから治るまでの間の記憶を失い、事故に会う前の普通の状態に戻っていた。  らしい。  覚えていないので、それも伝え聞いた話でしかない。昔の事なんて気にしていては仕方がない。  流輝はそう割り切っていた。 「よし、行きますか」 流輝は再び歩を進めると、徒歩十分のコンビニに向かって行く。 と、その時 「ん?」  流輝の全身を大きな影が覆った。  それと同時に、飛行機が飛ぶときに響くような、独特の音が聞こえてきた。  不思議に思い空を見ると、何かが海に向かって飛んで行く巨大な何かが見えた。 飛行機にしては大きさが大きく、形がいびつだった。翼はまるで鳥のようで、何となく有機的に見えた。  「何でしょう、あれ」  少し疑問に思ったがすぐに興味が失せた。  よく分からないことを深く考えても仕方ないのだ。  もうコンビニも見えてきたので、さっさとマンが雑誌を買うことにした。時間は有限なのだ。  「急ごう」  少し早足にすると、急いでコンビニに行こうとする。  後数分で到着、というところで  コンビニの上に何かが落ちてきた。  「はい?」  落ちてきたそれは、約二十mの大きさがあって、いびつな人型をしていた。顔は無く、上半身は長い円柱の形をしていた、下半身は小さく、両腕は長く、四足歩行のような見た目になっていた。  前腕部は大きく張り出したブースターのような物がついていて、翼のような外見になっていた。  上半身の円柱の先には丸い何かが付いていて、そこには赤いモノアイが不気味に光っていた。  円柱の上はバックパックと、二本の銃のような物が搭載されていた。  埋まり、それは  「ロボット?」  そう、ロボットだった。  そのロボットは、両腕を上げてさっき飛んで行った飛行物体を狙うと、手の平にあるビーム砲の銃口を向けた。  そして、ビームを放つ。  ビームと言っても、光速の物では無い。  空中にある光粒子を吸収し、弾丸状に生成すると、それに熱量を持たせ、亜音速で放つものである。  正式名称『光粒子弾』通称『ビーム』
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