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完璧すぎるシェフの料理は、やっぱり完璧。味はもちろん見た目、香り。時には斬新で、時には基本に忠実。栄養バランスまできっちり整えられていて、常連のおばちゃんなんかは「ここに来ればお医者がいらねぇなぁ」なんて笑う。
「えりちゃん、どこでランチしてきたの?」
「そこのファミレスです」
まだ開店中なのにシェフがお店を離れてどうしたんだろう。そんな問いが私の顔にそのまま書いてあったんだろう。
「えりちゃんを呼びに来たのよー!お願い、お店に来て?」
お願いされるまでもなく、今帰るところだった。けどそんなこと、この人の手に手を取られ歩き出されたら何も言えない。なにより足の長さが違うのだ。
「お、お店は?」
「それがねー」
時間的にはランチタイムを過ぎて、一服いれられる頃だろうか。午後からの自分の仕事を思い浮かべつつ頑張って早足。
「お昼過ぎてちょっと片付けをしようと思っただけなのよ?」
「お姉ちゃん……まさか、掃除したの?」
調理場に立たせたら先代も舌をまく。しかも美人過ぎるシェフの姉は……掃除との相性が悪すぎた。
「なんか掃除機から稲妻がね……」
*end*
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