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「お父さん……」
急に胸に熱いものが込み上げてくる。
「何だゆつき?」
「今までごめんなさい」
「ああ、何だ。何を言うのかと思ったら、何で謝るんだ?」
「だって、だって……」
ゆつきの目から涙が零れる。
「オマエは何も間違ったことはしていないじゃないか。だったら謝る必要なんかない」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
ゆつきは泣いた。涙が止まらなかった。
「ゆつちゃん」
「ナナミさん。娘のことをこれからもずっとよろしくお願いします」
「お父さん……。はい。ゆつちゃんに嫌われても、ずっとしつこく付きまといますから」
「ははは、それはいい。ぜひお願いします」
「ちょっとヤダもう」
ゆつきは泣きながら笑った。
「明日も休みなら、今夜は久しぶりに家に泊まっていったらどうだ?」
「いいんですか?」
ゆつきより先に七美が口を出す。
「ええ、ゆつきの部屋は、昔のままにしてありますから、良かったらぜひ」
「わぁ、見たいです。ゆつちゃんの子供の頃の部屋」
「えっ、ワタシはイヤだよ。恥ずかしいもん」
「ダメ。もうお父さんの許可は取っちゃったから」
七美は嬉しそうに笑った。
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