43人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
お昼まで病院にいて、それから二人で実家へと向かう道中で、ランチタイムにすることにした。
「なかなかお洒落なお店だね」
七美はご満悦の様子である。
とりあえず美味しい物を食べさせておけば機嫌がいい。
「私はパスタランチにする。ゆつちゃんは?」
「じゃあ一緒で」
「え~~~一緒かぁ~~~」
案の定七美は口を尖らせる。
別の物を頼んで、一口貰おうという算段なのだ。
「じゃあ七美が変えればいいじゃん」
「あっ、その手があったか。じゃあチキンソテーにしよっと」
すぐにニコッと微笑む。
まるで思考回路が子供で、本当に可愛いったらありゃしない。
改めて幸せを感じた。
「でも、お父さんと話せて良かったでしょ?」
七美が優しく微笑む。
「あ、うん。そうだね」
ワタシは素直にそれを認めた。
ずっと怖くて大嫌いだった父。
七美が行こうって言わなかったら、ずっと怖くて大嫌いだったまま、父と永遠の別れをすることになっていただろう。
「有り難う七美」
「やっぱり私のすることに間違いはないでしょ? これからも全部従うこと」
「バカ。調子に乗らないの」
「あはは」
七美は嬉しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!