第4話 里帰り

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目を覚ますと、ベッドに七美の姿がない。 枕元の目覚まし時計を見ると、もうすぐ七時になるところだった。 そろそろ起きて支度をしなければならない時間だ。 昨夜は中々寝付けなくて、学生時代のことや、七美と出会った頃のことを思い出してしまった。 懐かしい。 思えば色んなことがあった。 中学生になるとともに親元を離れ、辛いことや悲しいこともたくさんあったけど、今はこんなにも幸せである。 全ては七美のお蔭げ。 「おはよう」 「あっ、ゆつちゃん。まだ寝てていいのに」 いつもは中々起きない七美が、珍しくキッチンに立っている。 「え? どういう風の吹き回しよ」 「だって今日はゆつちゃんの誕生日でしょ。おめでとうゆつちゃん。私が用意するから、ゆっくりしてて」 「あっ、そう言えばそうだったわ。じゃあ今朝はお言葉に甘えるね」 「うん」 寝起きの悪い七美の為に、いつも朝食の支度はワタシがするんだけど、今朝は甘えることにした。
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