第4話 里帰り

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「やらないよ」 「何でよ?」 七美はすぐに口を尖らせる。 「だっていい歳した女が二人で、何やってんだって思われるじゃん」 「誰に?」 「そりゃ、周りの人にだよ」 そう言いながら周囲を見回すけど、誰もいなかった。 「ほら、やるよ」 「でもこれ、何人かいないと全然面白くないよ」 「いいの! ゆつちゃんの想い出を体験したいんだから」 七美はさらに口を尖らせる。 「もう、仕方ないなぁ」 言い出すと聞かないので、ゆつきは仕方なく付き合うことにした。 「じゃあゆつちゃんが鬼ね」 「はいはい」 「え~~と、こうやってペロンって言えばいいんだよね?」 七美は右足の踵だけを地面につけて、つま先を浮かせる。 「そうだよ」 「じゃあ、ペロン」 七美はつま先を地面につけると同時に、柱の周りを走り出した。 「一周~~~」 一周目をあっという間に走り終え、嬉しそうに声を上げる。 ゆつきはすぐに、七美とは反対の鬼が移動できるタイルの上に向かった。 七美が走って来るから、タッチしてやる。 「あっ、捕まっちゃった」 「当たり前だよ。何人もいるから的が絞れなくて中々捕まらないんであって、一対一じゃ簡単に捕まえられるよ」 「ちぇ、つまんないの」 七美はまた口を尖らせた。
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