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「やらないよ」
「何でよ?」
七美はすぐに口を尖らせる。
「だっていい歳した女が二人で、何やってんだって思われるじゃん」
「誰に?」
「そりゃ、周りの人にだよ」
そう言いながら周囲を見回すけど、誰もいなかった。
「ほら、やるよ」
「でもこれ、何人かいないと全然面白くないよ」
「いいの! ゆつちゃんの想い出を体験したいんだから」
七美はさらに口を尖らせる。
「もう、仕方ないなぁ」
言い出すと聞かないので、ゆつきは仕方なく付き合うことにした。
「じゃあゆつちゃんが鬼ね」
「はいはい」
「え~~と、こうやってペロンって言えばいいんだよね?」
七美は右足の踵だけを地面につけて、つま先を浮かせる。
「そうだよ」
「じゃあ、ペロン」
七美はつま先を地面につけると同時に、柱の周りを走り出した。
「一周~~~」
一周目をあっという間に走り終え、嬉しそうに声を上げる。
ゆつきはすぐに、七美とは反対の鬼が移動できるタイルの上に向かった。
七美が走って来るから、タッチしてやる。
「あっ、捕まっちゃった」
「当たり前だよ。何人もいるから的が絞れなくて中々捕まらないんであって、一対一じゃ簡単に捕まえられるよ」
「ちぇ、つまんないの」
七美はまた口を尖らせた。
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