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そして夕方、退社すると七美は一人でケーキ屋さんに立ちより、ゆつきは先に自宅に帰り料理を始める。
七美が帰ってくると、まず夕飯を済ませてから、ケーキタイムになった。
「ほら、ゆつちゃん。電気消すよ」
七美はケーキに立てられた蝋燭に火をつけると、照明をリモコンで消して、バースデーソングを歌う。
「さぁ、フーって消して」
そう言われてワタシは蝋燭の火に息を吹きかけた。
24回目の誕生日。七美と二人だけのお誕生日会。
「っていうか七美。だから何でホールで買ってくるのよ。こんなに食べきれないでしょ?」
電気を点けた七美に文句を言った。
「だって、カットされてるケーキじゃ、蝋燭が立てられないじゃん」
七美は子供のように頬を膨らませる。こういうところが相変わらず可愛くて、ワタシは七美のことが大好きなのだ。
「いいも~ん。私が一人で全部食べるんだから」
七美はケーキを八等分にカットすると、そのうちの一つをワタシの前に置き、残りの七つを自分の前に置く。
「そんなに食べて太っても知らないよ」
ワタシは呆れながら七美を見た。
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