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大抵の学校にも、“どこぞのアイドルなんかよりも可愛くて綺麗で人気のある少女”というのは、一人か二人程度は、居ると思う。
その例に漏れず、俺の高校にも、“そんな少女”が居る。
『汐実 詩菜(しおみ しいな)』
幸運にもこの『御守 結斗(みかみ ゆうと)』と同じ2年C組にだ。
可愛いとも言えるし、綺麗とも言える。
長い艶のある黒髪に、白い肌。
切れ長の瞳と、そのグラビアモデル並みのスタイルが特徴的だ。
更に、声も良い――低過ぎずそれでいて高過ぎない。
アニメの声優とかしてます、とか言われたら録画予約必須だ。
オマケに勉強も出来て、スポーツ万能。
人付き合いが苦手らしく、あまり社交的では無いようだが、そもそも人を惹きつける魅力がある。
彼女が少し気分を変えて、「今日、皆でカラオケ行かない?」とか言ったら、クラス全員でカラオケボックスを貸切るだろう。
そんな彼女が、今現在、俺の直ぐ近くにいる。
まぁ、単純に定期的に行われる席替えをした結果、隣になっただけなのだが……。
正直、こんな美少女が隣なんて、今日を境に、俺の学園生活も輝けるモノに――!?
なんて、淡い期待を抱いたものだが……。
――なんだかんだと、つい先ほど、帰りのホームルームが終った所だ。
交わした言葉は「よ、よろしくね」「えぇ、よろしく」の僅か12文字。
「……――」
折角なのだから、少し位、喋っても良いと思うのだが、彼女居ない歴17年にして友達も少ない俺には、些かハードルが高かった。
次の席替えまで、こんな感じが続くのか……。
帰り支度をしながら、諦めが滲む情けない苦笑が、小さく漏れた。
――と、
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