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「待ってよポチ!」
白と茶色のバイカラーの犬に引っ張られるように、少女が駆ける。
早く早くと言うように、犬は少女を見上げてワンワンッと鳴いた。
そんな楽しそうな少女と犬の横を、一人の少年がすれ違う。
「もう3年か……。よかった、元気になって」
少年は通り過ぎた少女と犬の後ろ姿を見つめ、そう呟いた。
チリン、と音を鳴らし。
そのとき。
「ポチ??どうしたの??」
犬が少年に向けてワンワンッと吠えた。
「ほら、いくよ??」
少女はリードを軽く引き、犬は戸惑うようにそれに従う。
「ポチ、主人のことはお前に任せたからな」
駆けていく少女と犬に向けてそう呟いた。
しかしその言葉は誰にも聞こえはしない。
響いた声は「ニャー」という鳴き声。
それは3年前まで少女の傍にいた、黒い猫と同じ声。
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