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あーだこーだいいながら、スープを選び、そのパッケージの裏に書いてある食材を集めていく。
「肉は?とんこつだし、やっぱ豚かな?」
「そうなんじゃね?あ、肉団子も!」
「はいはい」
そうして鍋の材料は一通り集まった。
「よし、こんなもんかな。あとは…響って酒飲める?」
「ん?もち!飲める」
「じゃぁお酒も買っていこうか」
「まじ!?酒までいいの??」
「発泡酒や酎ハイで我慢してね」
「全然オーケーです!」
自分が飲みたいだけだし、と思いつつ、誰かと飲むのなんて何年ぶりだろうかと考えたら少し夜が楽しみになった。
「ありがとうございましたぁ」
レジを通り貰った袋に食材、酒を詰めて店を出る。
必要な分だけにしたつもりだが、それでも結構な量と重さになった。
「また20分…」
すっかり忘れていた、この距離を…
袋を持ちガクッとうな垂れた俺を見て響が俺の手から袋を奪い取った。
別に重いとか、疲れたとかじゃないんだけどな。
「大丈夫だよ、俺持つから」
「平気。これくらい」
そういって先へ歩いて行ってしまう響。
この距離を面倒だと思ってしまうのは、長いこと織の中で過ごしてきたせいなのだろうか。
普通の人なら、気にも留めない距離なのかもしれない。
運動…しようかな。
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「お邪魔しますっと」
やっと着いた響の家に、やはり定番の挨拶をして入る。
結局最後まで楽勝といった感じで買い物袋を持っていた響は無言のまま家へと入り袋を台所へ下ろした。
外は夕暮れ、そんなに食材選びに迷っていたつもりはなかったのだが、時計を見ると時刻は17時になろうとしていた。
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