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「はらへったー」
言って衣類の山に倒れこむ響。
確かに、肉まん一つではそろそろ限界だ。
「ちょっと早いけど作っちゃいますかね」
「はんふぇーぃ(賛成)」
お酒を冷蔵庫にしまいながら聞くと、衣類に埋まったまま返事が来た。
これは…俺が作るってことだよね。まぁいいけど。
さて、と戸棚をあさり引き出しをあさり、包丁とまな板は発見。
適当に器やお玉、ハシもあるけど…
「響ー土鍋どこ?」
「あ…」
どうにも見つからなくて声をかけると、響はガバッと顔をあげ四つん這いのまま泣きそうな顔でこっちを見て固まっている。
「鍋…鍋するのに鍋がないとか…」
抑えきれなくて笑いが漏れる。だって、根本的すぎるし。泣きそうだし。
「どうしよう…」
「いいよいいよ、普通のカレー作るような鍋は見つけたからこれでやろう」
「まじ?よかったー」
本気で凹んでいる響をなだめ、上のほうの戸棚から大き目の鍋を取り出す。
ん?…こんなとこ、響届くのかな。
自分でも腕をしっかり伸ばしてやっと取れる高さ。
近くに足場も見当たらないし……ってかさっきの凹みようを見る限り、響もこの鍋の存在を忘れてたみたいだし…
まぁ、いいか。
そこまで深入りする必要もないと、鍋の支度にとりかかる。
と言っても、スープを煮立て野菜を切って、あとはすべて放り込み蓋をして待つだけ。
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