第2話 はじまり

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「よーし、できたからそこの机の上なんとかしてー」 「まってました!」 鍋をもって声をかけると、勢いよく起き上がった響が荷物に埋もれたローテーブルの上のものを乱暴に下に落とし場所を作る。 鍋敷き代わりの雑誌を一冊置いてもらい、その上に鍋を置いた。 「器とか、適当に出しちゃったけどよかった?」 そう言いながら、すでに鍋の前でスタンバっている響の前に器と箸を置く。 最後にビールを二本冷蔵庫から取り出し自分も響の向かい側に腰を下ろした。 「いいよ、なにからなにまでありがとー!」 「いえいえ、じゃぁ食べようか」 「えーじゃぁ、俺らの出会いに乾杯!!」 「なにそれ」 唐突に放たれた乾杯の音頭に笑いつつ、自分のビールの缶を掲げられた響の缶に当てた。 この出会いを、響は喜んでくれているのかな。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「はー腹いっぱい!!ごちそうさま!」 「うん、ちょっと食べ過ぎたかな」 乾杯から始まった小さな鍋パは、あっという間に〆のラーメンまで綺麗になくなった。 もちろん自分も食べたが、響の食欲は異常なほどで、よく今まで買い食いでやってこれたと思う。 …いや、やってこれなかったからこんなにお腹を空かせていたのかな。 「ねぇ、いつから親いないの?」 ふぅ、とお腹を押さえて食事前に埋もれていた衣類に今度は仰向けに寝転がり、幸せそうな顔をしている響に聞かないつもりだったことをつい聞いてしまった。 いつから買い食い生活なのか、気になって…
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