第2話 はじまり

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「なにされたとか、何時されたとか全然わかんねー」 体育座りのような格好でなぜか前後にゆらゆら揺れつつ、ビールをチビチビ飲みながら話す響。 その頃を思い出しているのか、少し寂しそうな顔をしている。 「ガキがいっぱいいて、あ、もちろん俺もガキの頃ね。で、普段はふつうに遊んだりしてんだけど…ときどき…人が減るんだよ。昨日まで毎日いたやつが、急に次の日からいなくなっててさ」 一言一言、しゃべるのが辛いとでも言うようにゆっくり紡がれた懺悔のような言葉。 ならば、なぜこんな得体のしれない男に話すのか…あるいは、一日限りの付き合いだからこそなのか。 子供が消えるとはどういうことだろうか。 嫌でも浮かんでしまうのは、やはり【実験→失敗→破棄】と言う最悪。 「あー!!もうごめん!変な話して!お前が親がどーの言い出すから悪いんだからな!」 「謝るのか怒るのかどっちかにしてよ」 重たい空気に耐えかねたのか、さっきまでの大人しい様子から一変。出会った時のテンションに戻ったと思ったら急に立ち上がる響。 コロコロ変わる態度がおかしくて、またも言葉に笑いが混ざりそうになる。 それをごまかすように缶を煽りビールを飲み終えた。 「…また笑ってねぇ?」 あ。ばれてる。 「ごめんごめん」
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